Cohen's κ(カッパ)/ Krippendorff's α(アルファ)— 評価者間一致度の測り方
一言で言えば、複数の評価者が同じ対象を評価したとき、偶然の一致を超えてどれだけ一致しているかを示す指標である。
なぜ重要か
手動アノテーション(=AIの回答が「正解」か「不正解」かを人が判定してラベルを付ける作業)では、評価者が変わると結果も変わる。生の一致率だけでは偶然による一致まで「合意」として過大評価してしまうため、偶然一致を補正した指標が必要になる。これがなければ、「正確性スコア」の信頼性はそもそも成り立たない。
Cohen's κ(カッパ)
対象は評価者2名、名義尺度(=カテゴリで判定する尺度)である。
算式: κ = (P_o − P_e) ÷ (1 − P_e)。P_o は実測の一致率、P_e は偶然による期待一致率である。
判断基準(Landis & Koch 1977): 0.21–0.40=まずまず、0.41–0.60=中程度、0.61–0.80=実質的一致、0.81以上=ほぼ完全一致。
Krippendorff's α(アルファ)
対象は評価者3名以上で、欠損データを扱え、名義・順序・間隔・比率(レシオ)尺度のいずれにも対応する汎用版である。
目安: α ≥ 0.80 で「結論を信頼してよい」、≥ 0.667 で「暫定的な議論にとどめる」(Krippendorff 2004)。
ai-searchのように尺度が混在する評価では、Cohen's κよりαを使うほうが安全である。
具体例
12指標のAI検索評価の正確性スコアでは、100問に対して3名の評価者が「key_facts(重要事実)が含まれているか」を独立に判定する。
実測一致率0.90、偶然期待値0.50 → κ = 0.80(実質的一致)。これにより採点ロジックが安定していると言える。
ai-searchプロジェクトでの使い方
- DoD(完了の定義)カテゴリE-1(信頼性)は、κ ≥ 0.70 または α ≥ 0.667 を最低基準として要求する。
- 事実確認・ブランド言及・鮮度の判定は2〜3名の評価者が並行して採点し、κまたはαを毎週報告する。
統計設計の全体像についてはCohen's dと合わせて読むとよい。
出典・参考
- Landis & Koch, "The measurement of observer agreement for categorical data", Biometrics 1977 — 論文
- Klaus Krippendorff, "Content Analysis: An Introduction to Its Methodology"(Sage、2004年)— 書籍
- DoD Framework v1.0 — GMO ai-search docs/dod-framework-v1-2026-05-28.md — 社内文書