Cohen's d(コーエンのd)— 効果量を測る
一言で言えば、Cohen's d とは、2群の平均差を、両群を合わせた標準偏差(プールされた標準偏差)で割ることで「差の大きさ」を無次元の数値として表す指標である。
なぜ重要か
p値だけを見ていると、「統計的に有意」と「実務的に意味がある」は別物になる。サンプルサイズが大きければ、ごく些細な差でも p < 0.05 に達してしまう。Cohen's d は p値とは独立に、差がどれだけ大きいかを示す。
12指標のAI検索評価の作業では、エンジンAとエンジンBの引用率に差がある場合、d=0.2は「差があるかどうかも判断しづらい」水準であり、d=0.8は「明確に異なる」水準として読む。
計算式
d = (M₁ − M₂) ÷ SD_pooled
ここで SD_pooled は2群を合わせてプールした標準偏差である。
慣習的な解釈(Cohen 1988)
| dの絶対値 | 意味 |
|---|---|
| 0.2 | 小(small) |
| 0.5 | 中(medium) |
| 0.8 | 大(large) |
ただし基準は分野に依存する。教育や医療の分野では0.3でも大きいとされる。LLM(大規模言語モデル = 大量のテキストで学習した言語処理モデル)評価では、0.5でも実装判断の根拠としては弱いとされる。
具体例
エンジンAの平均引用数が8.0、エンジンBが5.0、共通のSDが3.0の場合、次のようになる。
d = (8.0 − 5.0) ÷ 3.0 = 1.0 → 大
これは「Aのほうが明確に引用数が多い」と言えるだけの大きさである。
ai-searchプロジェクトでの使い方
- DoD(Definition of Done = 完了の定義)フレームワークC-1(統計的検出力)のもとで、検出力0.80でd=0.5を最小サブグループごとに検出できるサンプルサイズを事前計算する根拠として使われている。
- 12指標すべてのエンジン間比較はCohen's dとともに報告される予定である(Phase B-2)。
出典・参考
- Statistical Power Analysis for the Behavioral Sciences (2nd ed.) — Jacob Cohen(Lawrence Erlbaum、1988年)— 書籍
- DoD Framework v1.0 — GMO ai-search docs/dod-framework-v1-2026-05-28.md — 社内文書