SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)とは何か
SIPとは戦略的イノベーション創造プログラムの略称である。内閣府が主導する国家プロジェクトであり、最大の特徴は省庁の壁を越えて、基礎研究から社会実装(=研究成果を実際の製品・サービス・仕組みとして世に出すこと)まで一気通貫で推進する点にある。
誰が運営するか —— 司令塔はCSTI
舵を取るのは内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)である。各省庁が個別に研究予算を配分すると分野が縦割りになりがちなため、CSTIがテーマと予算を全省庁横断でトップダウン決定する。
CSTIは日本の科学技術政策における最高会議であり、内閣総理大臣を議長とする「司令塔」である。
仕組みの核心 —— PDによるトップダウン運営
各課題にはPD(プログラムディレクター)が置かれ、予算配分と方針がトップダウンで決定される。研究者任せにせず、担当者が全体をまとめる「管理型」の運営である。
バックキャスティング(=理想の未来像を先に決め、そこから逆算して現在の行動を決める思考法)という考え方があり、SIPはSociety 5.0の目標像から逆算して課題を設定する。Society 5.0とは、AIとデータが社会全体に浸透した次世代社会の構想を指す。
第3期(2023年度〜)
- 期間 —— 2023年度からの5年間。
- 規模 —— 人協調ロボティクス、スマートモビリティ、バーチャル経済圏など14課題を推進。
- 狙い —— 産学官連携により、社会課題解決と日本の経済・産業競争力にとって重要な領域を確保すること。
産学官連携とは、企業(産)・大学(学)・政府(官)が組む体制であり、単独の企業や大学では到達できない大規模研究を可能にする。
なぜ重要か
通常の研究助成は研究で終わりがちである。SIPは、技術が実際に使われる段階まで国が一貫して面倒を見る設計になっており、技術が社会に届く確率を高めている。起業や事業構築の観点からは、今後カネとヒトが集まる国家の優先領域を読む地図としても使える。
出典・参考
- 内閣府 SIP概要 —— 公式サイト
- SIP第3期 課題一覧 —— 公式サイト