学問分類体系 — 学術分野アウトラインとOECD FOS
要点:「知識分類」には目的の異なる2つの系統がある。図書分類(=蔵書を棚に並べるための体系。DDC・NDC・UDC)と、学問分類(=研究領域そのものを区切る体系)である。個人の学習ノートには後者を骨格とするのが適切だ。教科書的な標準は五大学術分野——人文科学・社会科学・自然科学・形式科学・応用科学(Wikipedia の Outline of academic disciplines に基づく)——であり、各分野の下には固定された第二階層のサブ分野がある。研究統計の行政的標準はOECD Frascati FOS(6分野)だ。このtilサイトでは、五大学術分野を固定のトップレベルカテゴリとして採用し、標準サブ分野を固定の第二階層としている。
このtilの分類体系を作り直す過程で最も重要だった区別を、整理して書き残す。「知識分類」には目的の異なる2つの系統があるという点だ。
2つの系統:図書分類と学問分類
| 系統 | 整理する対象 | 代表例 | このtilでの扱い |
|---|---|---|---|
| 図書分類 | モノ(蔵書) | DDC・NDC・UDC・LCC | taxonomy-basics・dewey-ndc |
| 学問分類 | 研究領域そのもの | 五大学術分野、OECD FOS、科研費(=日本の研究助成の分類) | ← 本ノート。tilの骨格として採用 |
図書分類は「書物」の存在を前提とするため、ブログ記事にならないような小さな学びには粒度が合わないことがある。骨格として据えるべきは学問分類だった。
標準1:五大学術分野(Outline of academic disciplines)
Wikipedia の Outline of academic disciplines が定義する教科書的な五分野と、その下にある標準的なサブ分野(第二階層)は次のとおりである。
| 分野 | 標準サブ分野(抜粋) |
|---|---|
| 人文科学 | 舞台芸術/視覚芸術/歴史/言語と文学/法学/哲学/宗教 |
| 社会科学 | 人類学/経営学/経済学/地理学/言語学/政治学/心理学/社会学 |
| 自然科学 | 物理科学/生命科学 |
| 形式科学 | 数学/論理学/計算機科学 |
| 応用科学 | 工学・技術/建築・デザイン/医学・保健/教育学/農学/図書館情報学・博物館学/行政学 …… |
重要なのは、形式科学(数学・論理学・計算機科学)は「自然を扱わない」ため自然科学とは独立した区分に置かれる点である。情報理論や計算理論はここに属する。
標準2:OECD Frascati FOS(研究統計の世界標準)
論文数や研究資金を国際比較するための行政的分類。6分野とその下の第二階層からなり、最も中立性が高い。
- 自然科学(数学、計算機・情報科学、物理学、化学、地球・環境科学、生物学)
- 工学・技術
- 医学・保健科学
- 農学
- 社会科学(心理学、経済学・経営学、教育学、社会学、法学、政治学、地理学、メディア)
- 人文科学(歴史学・考古学、言語と文学、哲学/倫理学/宗教学、芸術)
五大学術分野が「教育と学問の地図」だとすれば、FOSは「研究行政の地図」である。両者は相互変換(クロスウォーク)が可能だ。
tilへの適用
- トップレベル=五大学術分野に固定(人文科学・社会科学・自然科学・形式科学・応用科学)。職能名(ai/design/product)は排除し、骨格からバイアスを取り除いた。
- 第二階層=標準サブ分野に固定し、恒久化する。空のカテゴリ(物理学・数学など)も「学問の地図」の一部として保持する。
- AI・Claude Code・SEOのような個別の関心はタグ(ファセット=多次元を横断する付加属性)に落とし込み、複数の軸を横断させる。
- 人文科学の歴史の下に伝記、社会科学の心理学の下に認知科学、応用科学の図書館情報学の下に分類学(本ノート)を置く、というように、迷ったときは標準的な定義に従って配置する。
これは発想の転換だった。学習ノートを「自分の関心の地図」としてではなく、「人類の知識の地図のうち、自分がたまたま立っている一角」として並べ替えるということである。
出典・参考
- Outline of academic disciplines — Wikipedia — サイト(Wikipedia)。五大学術分野と標準サブ分野
- Fields of Science and Technology(OECD FOS)— Wikipedia — サイト(Wikipedia)。Frascati 6分野
- 分類学の基礎(taxonomy-basics) — 自ノート(図書分類の概観)
- DDCとNDCを並べて読む — 自ノート