AI検索評価 ⑧ レイテンシ(Latency)— 平均応答秒数で測るスピード指標
レイテンシ(=APIリクエストから最終応答を受け取るまでの平均秒数)は、ユーザー体験を左右する直接指標であると同時に、複数の処理段階を経由するマルチホップ(=1回の処理で複数の情報源・段階を経ること)のエージェント型タスクが成立するための前提条件でもある。
なぜ重要か
- ビジネス面では、AI検索がSERP(=検索結果ページ。Search Engine Result Pageの略)に対して持つ優位性は速さにある。応答に10秒かかれば、ユーザーは離脱する。
- 学術面では、レイテンシが高いとマルチホップのエージェントタスク(指標C4「エージェントタスク完遂率」)でタイムアウトが発生し、コスト予算を超過しやすくなる。
- HELM(=大規模言語モデルを包括的に評価するフレームワーク。Holistic Evaluation of Language Modelsの略)も、精度指標と並ぶ効率指標としてレイテンシを採用している。
計算式と報告方法
- レイテンシ = 応答秒数の合計 ÷ リクエスト数。
- 外れ値の影響を見るため、p50(中央値)とp95(上位5%境界値)を分けて報告する。
- タイムアウトは件数と割合を別枠のタイムアウト率として集計・報告する。
仮想シナリオ例
- ChatGPT Search(gpt-4o-mini):平均3.2秒 / p95 5.1秒。
- Gemini 2.5 Flash:平均2.8秒 / p95 4.4秒。
- Claude Opus 4.6(WebSearch):平均8.5秒 / p95 14.2秒 —— 精度とのトレードオフとして解釈する。
- AI Overview(SERPスクレイプ=検索結果ページを抽出する方式):SERP取得時間込みで4.0秒。
プロジェクト内での扱い
- 対象クエリ全600問について、コレクタースクリプト(=計測用に自作した収集プログラム)でミリ秒精度で計測する。
- SERPスクレイプ系エンジンは、Bright Data(=Webデータ収集サービス)による取得時間も計測に含める。
- 単独の構成概念(construct)としてではなく、C4「エージェントタスク完遂率」の前提条件として位置づける。
p50・p95・タイムアウト率は必ずセットで報告する。レイテンシはUX(=ユーザー体験)の関門であると同時に、エージェント型タスクの成立条件でもある。
関連ノート
- AI Search Evaluation: The 12 Metrics — Gateway
- AI Search Evaluation ①Citation Rate — How Many URLs Are Pulled In Per Answer
- AI Search Evaluation ②Source Diversity — How Unskewed the Cited Sources Are
- AI Search Evaluation ③Accuracy Score — How Often It Answers Factual Questions Correctly
- AI Search Evaluation ④Answer Length — How Many Characters It Returns to the User on Average
- AI Search Evaluation ⑤Japanese Domain Ratio — How Often It Pulls In .jp-Family Domains