北野 宏明 — 人物メモ
北野宏明はAI研究者・システム生物学者であり、Sony CSL(ソニーコンピュータサイエンス研究所)で長年活動したのち、現在は東京のシステム生物学研究所(SBI)を率いている。自律ロボットのサッカー大会 RoboCup(ロボカップ)を創設したことと、AIによる科学的発見を目標とするノーベルチューリング挑戦を主導したことで知られる。
基本プロフィール
北野は1961年に東京で生まれた。1984年に国際基督教大学(ICU)物理学科を卒業し、1991年に京都大学で情報学の博士号を取得した。1988年から1994年まではカーネギーメロン大学の客員研究員を務め、1993年にはIJCAI(国際人工知能会議)の「コンピュータと思考賞」——35歳以下のAI研究者に贈られる最高賞——を受賞した。その後、Sony CSL、理化学研究所(RIKEN)、OIST(沖縄科学技術大学院大学)などを経てSBIに至る。
RoboCup(1997年〜)
北野は1997年にRoboCupを創設した。自律ロボットのチームがサッカーを行う年次国際競技会である。最終目標は、2050年までに標準ルールのもとでFIFAワールドカップ優勝チームに勝てるロボットチームを実現することだ。RoboCupは現在、世界最大規模のロボティクス研究イベントに成長し、世界中で数十万人が参加している。この構想の背景には、製品駆動の研究開発では生まれないブレークスルーを、長期にわたる壮大な目標こそが引き出すという思想がある。
ノーベルチューリング挑戦
ノーベルチューリング挑戦は、ノーベル賞に値する科学的発見を自律的に行えるAIシステムを構築するという新たなグランドチャレンジ(=壮大な目標を掲げて研究を牽引する取り組み)である。仮説の立案、実験の設計、結果の解釈、知識の再編成までをAIが自ら行えることが要件となる。この挑戦はSBIを拠点とし、「グランドチャレンジでAIを前進させる」という北野のキャリアを通じたテーマの延長線上にある。それ自体が賞というわけではなく、AIを科学分野のAGI(汎用人工知能=特定の作業に限らず人間並みに幅広い能力を持つAI)へと押し上げるための研究アジェンダである。
研究哲学
北野は、漸進的な目標ではなく壮大な目標こそが最大の飛躍をもたらすと考えており、RoboCup自体がその証明になっているとする。また、AIと生物学は収束しつつある分野であるとも見ており、システム生物学では生命を「ネットワーク」としてAIで解析する。彼の研究に繰り返し現れるテーマは人間とAIの協働であり、人間の創造性と機械のスケールという異なる知性の組み合わせが、どちらか単独よりも優れた成果を生むという考え方である。
出典・参考
- Systems Biology Institute (SBI) — 公式サイト
- Nobel Turing Challenge — 公式サイト
- Wikipedia: Hiroaki Kitano — 百科事典
- RoboCup Official — 公式サイト